消えたトポス

重ねてきた時間が
紅葉し
落ちて
腐葉土になり
やがて土に眠る

そのように朽ちたいものだ

枝葉がゆれうごく
けもの道をたどった不安
樹影のあいだから
青い月の光が射す
山頂ちかくの湖面に
満ちてくる寂寞

今日の一言がよみがえる
空に残された一片の雲のように
ことばに象(かたど)れなかった明日も
風紋のように駆けめぐる

つかみ取ろうとして
消えてしまったトポス
森のなかで
形や意味の変化していくタナトス
気配だけが通り過ぎていく