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後ろ戸の神

皇宮屋は宮崎神宮からすると戌亥(西北)の方角に当たる。 この方角は畏敬の方位とされ、西北から吹く風はタマカゼ(魂風)と呼ばれていた。 古人は特定の方位から吹く風に神の示顕と霊力を意識している。 諸塚村の戸下神楽の「山守」は、笠をかぶり、山葛を袈裟懸けにつけ、宝物の杖を携えて神楽宿に登場する。 この杖は「御榊柴」とも呼ばれ、宇宙を体現する宇宙樹であると考えられている。 屋敷の戌亥の位置が重要と考えられるのは、屋敷の背戸になる西北から山の神が宇宙樹を携えてやってくる方角だからである。 宮崎神宮の戌亥の方角に、偶然にもこの皇宮屋が位置している。そのことに気づいている人は少ない。

『ひむか伝承異聞』所収

斎場を御幣で囲った空間

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