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串間の火祭り

山伏や法印、別当と呼ばれる修験者たちは、衆生救済のために、祈祷、祈願、鎮魂儀礼を行った。 火を操りながら、捨身行や即身成仏に身を投じる姿に、人々は神の顕現を重ねたかもしれない。 死者や神を数える単位は「柱」である。 伊勢神宮の心御柱は、内宮及び外宮の正殿にある聖柱であり、その基礎に忌穴を掘り、守護神や祭物、供物などが納められる。 その守護神のひとつが龍神である。 本覚(衆生の悟り)とは「矛盾的統一体として自己を止揚する」(山本ひろ子)ことにあった。 衆生自ら抱える煩悩や罪業を大蛇に見立て、成仏のためにその大蛇は焼かれる必要があった。 煩悩業苦の焼尽、そこにこの柱松火祭りの核心があった。

『ひむか伝承異聞』所収

洞のある巨木

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