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盲目の神

景清伝説は、口承だけでなく、軍記物語、謡曲、浄瑠璃、歌舞伎などにも取り上げられ、その内容は多彩である。これが民衆の間に広まっていく背景には、一目小僧や人柱、蛇神信仰などにつながる盲目の神への畏敬があった。景清伝説は、古代日向の地が光と闇を貫く神を生み出す絶好の場所であったことを暗示する。日を貴しとし、日を讃える心情が、神話に登場する「日向の儀礼」を設定したのではないか。それが日に向かい、朝日を直視する儀礼であったとすれば、それを執行できたのは盲の巫覡以外にあり得ない。この日向の儀礼こそ、盲目の神を大量に産み出する母胎であった。闇と同時に光さえも透視する霊力がかつてこの地に満ちていた。

『ひむか伝承異聞』所収

霧島東神社に聳え立つ夫婦杉

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