巻頭にあげられた「靴」では、津波の跡に残された靴を通して、人が一瞬にして波にさらわれるという悲劇を問うている。弔う時間さえ与えられなかった自然災害の悲報に対して、人はどのように向き合えるのか、どんな言葉で現実を超えられるのかという問題意識が伝わってくる。靴を履いていた子どもや母親、老婆の名を列挙し、履き主を失った靴に呼びかける形で死の無残さを訴える。
しかし喪失の悲しさは、まさに哀しさとして解決の道は見い出せないのである。現実の世界に対して原罪を意識するほどに悲観的にならざるを得ない。だからこそ、言葉による「美しい解」を求めようとする。その飢えが詩作のモチーフとなっている。言葉の限界性も、アンビバレントな心情も意識しながら、大城は詩心を鍛えようとしている。