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神話的思考の源流

金田久璋詩集『鬼神村流伝』

ロシア・フォルマリズムのひとりロマン・ヤコブソンが、民間伝承、特に俚諺を熱心に調査研究し、そこに意味を持たない言語機能を発見したことは、後のソシュール言語学や構造主義の源流にもなった。また、ドイツロマン主義の流れを組むグリム兄弟(ヤーコプとヴィルヘルム)が民俗学や言語学に関心を寄せ、グリム童話の初版本に民話を提供した農婦の写真を載せたことはつとに知られている。

 想像力を広げれば、詩「願を解く」は一寒村の物語ではなく、世界規模でとらえることもできる。飢餓、難民、無差別テロ、多文化の消滅、自然異変、モラルハザードなど、世界のカタストロフィが臨界点に達しつつある。その危機感を身近な寒村の情景として象徴的に描き出している。「記憶の深い底にある集合的無意識とコスモロジーの所産」(金田)が、内部で発酵し、地球規模で危機的状況を感受している。

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